世界のへんな肉白石あづさ

白石あづさ
2016年刊
1200円+税

ウシ、ブタ、トリ以外のお肉、あれこれ

日大芸術科を卒業後、地方紙記者職を経て3年間の世界放浪に出た著者が各地で出会った肉料理を紹介する本。度胸と若さと勢いで、鳥類・哺乳類から両生類、爬虫類までご当地肉料理に箸を伸ばしていく様が非常に平易な言葉で綴られる(取り上げられているお肉の種類については目次を参照されたい)。料理エッセイにしては珍しく、1点の写真も掲載しない潔さ。代わって著者によるイラストが添えられているが、思わず表3の著者来歴を見返してしまったくらいの落書き風。ん?美術学科?(高度な計算なのか)

トルコを旅する澁澤幸子のごとく、著者は世界のあちこちの食卓にするりと入っていく。美味しい/不味いの判断もすっぱり鮮やか。身近な味に置き換えて解説してくれている点もいい。ただ一番いいなと思ったのは、どんなにお肉が固く不味くても、作り手や招いてくれた人のことを慮って残さないよう努力する姿勢。恐らく著者のこうした人となりが、食卓に招きたいと思わせるのだろう。

目次

  • はじめに

ユーラシア篇

  • 【水牛(インド)】インド人も牛を食べる?「悪魔の牛カレー」とは
  • 【ヒツジ(イラン)】恋する女子大生も大好き「ヒツジの脳みそサンドイッチ」

アフリカ篇

  • 【ラクダ(エジプト)】乗るより食べたい?「ラクダのケバブ」
  • 【キリン(ケニア)】サバンナレストランでもらった「キリンのジャーキー」
  • 【ダチョウ(南アフリカ)】恐怖のダチョウ リベンジは「ステーキ」と「オムレツ」で
  • 【ガゼル/インパラ(ケニア)】チーターも大好物?「サバンナの天使の煮込み」
  • 【ウサギ(ウガンダ)】湖に浮かぶ島で暮らす魅惑のぶちウサギ

中南米篇

  • 【リャマ/アルパカ(ペルー)】インカ対決「リャマのトマト煮」vs「アルパカステーキ」
  • 【ヨロイナマズ(ブラジル)」アマゾン川グルメ紀行 呪われた「ヨロイナマズの味噌汁」
  • 【バッファロー(ブラジル)】開拓者の味?密林の「バッファローステーキ」
  • 【アルマジロ(グアテマラ)】お肌に効く!?「アルマジロのブラウンシチュー」
  • 【イグアナ(エルサルバドル)】その無表情がクセになる「イグアナのスパイス炒め」

ヨーロッパ篇

  • 【雷鳥(スウェーデン)】山のアイドル 禁断の「雷鳥のロースト ブルーベリーソース」
  • 【トナカイ(スウェーデン)】サンタの友達はうまいのか?「トナカイのカルパッチョ」
  • 【ビーバー(リトアニア)】バルトで出会った川の働き者「ビーバーのプラム煮込み」

アジア篇

  • 【ヤギ(インドネシア)】オバケのささやきと「ヤギの脳みそスープ」
  • 【カエル(マカオ)】おしゃれな漢方スイーツ?「カエルの子宮ココナッツミルク」
  • 【カブトガニ(中国)】セレブの気分で”カニ”三昧?「カブトガニの唐芥子炒め」

日本

  • 【ワニ(静岡)】背中のゴツゴツを煮込んだ「ワニカレー」やいかに
  • おわりに

書籍情報

白石あづさ
2016年刊
1200円+税