2013年刊
生クリーム不使用、ぷるんぷるんの美味美麗プリンを土鍋で作る
「dancyu」といえば、言わずと知れた美食月刊誌。おいしいお店の紹介の他、その道の専門家によるレシピなども掲載されている。本書はその「dancyu」創刊23年の結論と銘打って編集されたレシピ集大成。特に料理ジャンルは限定していないけれど、おかずとなるお肉類、お酒のおつまみ関連の比率が高い。
冒頭、妹尾河童のピェンロー(扁炉)などは料理好きには名高く、あちこちで取り上げられているのを見かけるけれど、ここは敢えてこのレシピ本で1つしか載っていないおやつのことについて触れたい。掉尾を飾る【土鍋でつくるなめらかプリン】である。
子供の頃、母が作ってくれたプリンも、長じて自分で作るようになったプリンも、どちらも「うちのおやつ」の域を出るものではなかった。蒸して作るプリンは、ス(蒸し上げる時に出来てしまう小さな気泡)が入るのも、いかにも素人作という雰囲気で気に入らなかった。Pastelのなめらかプリンが世間で大評判を取った頃、ああ足りていないのはこの柔らかさだったかと納得した。市販のプリンは固体と液体の中間くらいの柔らかさで、対し自家製プリンはもう少し硬くしっかりした食感だった。でも生クリームやら何やら重たい食材を使わないとこの食感にはできないだろうと思っていた。
が。それは完全に間違いだった。東京ガス「食」情報センターの小西さんのレシピで作れば、卵と牛乳とお砂糖とバニラポッドだけで、あの柔らかく繊細な食感のプリンが出来上がるのである。しかもスが入ること皆無。更に手順も至極簡単。作り慣れた料理のレシピを見直してみて、ここまで驚いたのはこれが初めて。プリン作りに壁を感じている方に、是非お試し戴きたい。
掲載レシピ
伝説の逸品
- 読者支持率No.1 妹尾河童さんの「ピェンロー」
- 編集部支持率No.1 川津由紀子さんの「ねぎ豚」
- ライター支持率No.1 マルディ グラの「トスカーナ・フライドポテト」
一生もの肉レシピ
- ポークソテー/佐藤光朗(「すぎ田」主人)、成澤由浩(「ナリサワ」シェフ
- 生姜焼き/「キッチングラン」「懐石小室」「厳選洋食 さくらい」食べ比べ
- ハンバーグ/谷昇(「ル・マンジュ・トゥー」シェフ)
- 煮込みハンバーグ/荻野伸也(「オギノ」シェフ)
- 鶏から揚げ/神田裕行かんだ」主人
- 陳麻婆豆腐/陳健一(「四川飯店主人」
- ミートソース/落合務(「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」シェフ)
- ビーフシチュー/斎藤元志郎(「ポンチ軒」主人)
dancyu太鼓判レシピ
- パルジャミーノご飯/北村光世(料理研究家)
- たらこスパゲッティ/落合務(「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」シェフ)
- 鶏肉の甘酢炒め/脇屋友詞(「Wakiya一笑美茶樓」シェフ)
- 納豆ヨーグルト蕎麦/矢部久雄(「銀座 矢部」主人)
- 自家製ツナ/小野清彦(「ダノイ」シェフ)
- トマトらー油 担々麺/五十嵐美幸(「中国料理 美虎」シェフ)
- 黒酢の酢豚/王連清
- 奇跡の煮たまご/磯康城(「らーめん まる玉」店主)
- 自家製コンビーフ/脇雅世(料理研究家)
- ガーリックステーキ/坂田幹靖(「GINZA kansei」シェフ)
- 筋子の味噌漬け/甲斐崎圭(作家)
- 牡蠣の昆布焼き/井上章子(「徳正寺」)
- 「竹やぶ」の焼き味噌/阿部孝雄(「竹やぶ」主人)
- 海老マヨ/譚彦彬(「赤坂璃宮」総料理長)
- 真鯛のポワレ/金子淑光(「ビストロ サン ル スー」シェフ)
- 鯖ずし/青木利勝(「鮨 青木」主人)
- 揚げうどん/福森満歩(陶工、料理人)
これぞ名酒肴!
- サンマのワタ漬け/文・藤田千恵子
- 「両花」主人の元祖・簡単おつまみ/文・山同敦子
- 日本酒つまみ傑作選/「浅七」マグロのづけ、「天★」がっこチーズ、「笹吟」かぶと塩昆布とイクラの和え物、「和」牡蠣オイル漬け
- ワインつまみ傑作選/「カノビアーノ」牡蠣のフリッタータ、「キッチン セロ」砂肝のチリガーリック、「アクアパッツァ」イタリア風タコの柔らか煮
- 焼酎つまみ傑作選/「五臓六腑 七八」ラム肉とじゃがいもの簡単カレー炒め、「御代家」〆サバのたくあん和え、「まるしげ夢葉家」豚足の黒糖煮
- 油揚げ。2枚あでば三合飲める/平松洋子
- 最強のポテトサラダをつくる/山中裕美(料理研究家)
- この食べ方で「夏野菜」極まる!/有馬邦明(「パッソ ア パッソ」シェフ)、松本栄文(「佐原茶寮 花冠」司厨長)
- 飯島奈美の目玉焼き/飯島奈美(フードスタイリスト)
- 土鍋でできる、なめらかプリン/小西雅子(東京ガス「食」情報センター)
2013年刊