料理の科学①素朴な疑問に答えますロバート・ウォルク(Robert L. Wolke)

ロバート・ウォルク(Robert L. Wolke)[ピッツバーグ大学名誉化学教授]
ハーパー保子
2012年刊(本記事は2013年の第3刷を元に作成)
What Einstein Told His Book

台所でのふとした疑問に科学とユーモアで答える1冊

多分、洋菓子を自分で作る人ならば1度は考えたことがあるのではないかと思う。「…無塩バター+塩少々なら、有塩バターで代用できるのでは?」と。

或いは美容界における強硬な主張「白砂糖は悪!どうしてもお砂糖を摂りたいなら精製してない茶色いお砂糖よ!」についても、一瞬そうなのかと説得させられそうになりつつも、次の瞬間ふと思う。「…でも白砂糖って、その茶色いお砂糖から作られるのでは?」と。

本書は、そうした食にまつわるモヤモヤを ①科学的見地から ②軽妙なユーモアで味付けした ③易しい文章で 解説した1冊。著者のロバート・ウォルクさんはピッツバーグ大学に30年勤めた経歴の持ち主。本書は「ワシントン・ポスト」紙に掲載されたおよそ10年分の連載をまとめたものだそう。読者からの質問に、著者が答えるという問答形式を採っている。


この前ラザニアを作ったとき、残った分を容器に入れてアルミホイルで蓋をし、冷蔵庫にいれておきました。その後、温めなおそうと思って冷蔵庫から取り出したら、ラザニアに触れた部分のアルミホイルに、残らず穴があいていたのです。(後略)
ご心配の通り、アルミホイルという金属に穴をあけたのは、あなたの作ったラザニアです(でも、あなたの料理の腕のせいではありません)。(後略) 引用元:「料理の科学①」ロバート・ウォルク著/ハーパー保子訳

何となく、本邦哲学界の土屋賢二を髣髴とさせる文章ではないか。人気が出るのも宜なるかな。本書では更に、著者の奥さんによるレシピ(教授の示す論理を実践で判らせようとする試み)も多数掲載。お子さんの自由研究にも役立ちそうな1冊。お薦め。

目次

  • まえがき
  • 体と食べ物の関係についての基礎知識

第1章 甘いものの話

  • 砂糖とデンプンは見かけは違うのに、なぜ同じ炭水化物なのですか
  • 精製されていない砂糖は体にいいのですか
  • 白砂糖は体に悪いのですか
  • 【作ってみよう01】メレンゲ・キス ― 超微粒子な口どけ感
  • アイスティーに入れても固まらない砂糖はどれですか
  • 固まったブラウンシュガーを柔らかくする方法を教えて下さい
  • サトウキビ糖とテンサイ糖の違いは何ですか
  • 砂糖の「硫黄処理」とは何ですか(「酸化」について)
  • 「甘いシロップ」各種の正体を教えてください
  • 【作ってみよう02】糖蜜のジンジャーブレッド・ケーキ ― アメリカ伝統の味
  • 一カップの水に二カップの砂糖を入れるようにとレシピにあります。無理ではないでしょうか
  • 「カラメル化」とは何ですか
  • トウモロコシ(コーン)自体よりコーンシロップが甘いのはなぜですか
  • チョコレートの分類の基準を教えてください
  • 【作ってみよう03】チョコレート・ヴェルベット・ムース ― オリーブオイル入りチョコレート?
  • 「ココア」と「ダッチ・ココア」の違いは何ですか
  • 【作ってみよう04】悪魔風カップケーキ ― ベーキングソーダで悪魔風の赤に
  • ホワイトチョコにチョコが含まれていないというのはほんとうですか
  • 【作ってみよう05】ホワイトチョコレートバー ― ほんもののチョコレートも色を失うおいしさ
  • 人工甘味料各種はどんな違いがありますか

第2章 塩 ― 生命を支える結晶

  • ポップコーン用の塩と普通の塩は違うのですか
  • 【作ってみよう06】アーモンドのタパス ― 揚げても良し、焼いても良し
  • 塩には肉を柔らかくする効果があるのでしょうか
  • 「代替塩」は塩より健康的ですか
  • パスタを茹でるとき塩を入れるほんとうの理由を教えてください
  • 「海塩」は普通の塩をどこが違いますか
  • コーシャー・ソルトとは何ですか
  • 挽きたての塩はよりおいしいというのはほんとうですか
  • 「塩味の緩和にジャガイモ投入」は、実際に効果があるのでしょうか
  • 「無塩バター」→「塩」の順に入れるのは、結局「有塩バター」を入れるのと同じことではないのですか
  • 【作ってみよう07】バタークッキー ― 危険な賭けは禁物。無塩バターを使って

第3章 脂肪 ― この厄介にして美味なるもの

  • 「脂肪」と「脂肪酸」の違いは何ですか
  • 脂肪を腐敗させにくくする方法を教えてください
  • マーガリンのとりすぎが健康によくないのはなぜですか
  • ラベルに記載されている「脂肪量」の意味を教えてください
  • 澄ましバターの長所と短所を教えてください
  • 【作ってみよう08】ポテトアンナ ― フランス生まれのポテト料理に澄ましバターを
  • フランス製バターはなぜおいしいのですか
  • トウモロコシからどうやって油をとるのですか
  • 油の種類による発煙点の違いを教えてください
  • 【作ってみよう09】リコッタチーズのフリッター(天ぷら) ― 揚げものですがデザートにどうぞ
  • 調理油に「無脂肪」と記載されていました。あり得ないと思うのですが、ほんとうでしょうか
  • インスタントラーメンの脂肪は、麺と調味料のどちらにありますか
  • 均質化(ホモジナイズ)した牛乳とは何ですか
  • 超高温殺菌牛乳と低温殺菌牛乳の違いは何ですか

第4章 キッチンの化学

  • 浄水フィルターの仕組みを教えてください
  • ベーキングソーダとベーキングパウダーの違いは何ですか
  • アルミニウムを含む食品を摂るとアルツハイマー病になると聞きました。ほんとうですか
  • クエン酸について教えてください
  • クリームターターとは何ですか
  • 【作ってみよう10】ポルトガル風ポーチドメレンゲ ― クリームターターを入れなければスープになってしまうデザート
  • バニラとバニラエクストラクトについて教えてください
  • MSG[「うま味調味料」の主成分]とは何ですか
  • ラザニアの三でアルミホイルに穴が開いてしまいました。人体にとっても危険なのではないでしょうか
  • 酢のすばらしい公用についてよく聞くのですが、それほど体にいいものでしょうか
  • 皮が緑色のジャガイモは、食べて大丈夫ですか
  • 縁が緑色のポテトチップは、食べて大丈夫ですか
  • ジャガイモの目(くぼみ)は危険ですか。すべて取り除くべきですか
  • グリッツ(挽き割りトウモロコシ)には有害物質が使われていると聞きました。ほんとうですか
  • 「作ってみよう11」ブルーベリー・ブルーコーンのパンケーキ ― ベーキングソーダとの反応でさらにブルーに

第5章 肉と魚介

  • レアのステーキを食べていると「血がしたたる肉を食べている」と冷やかされます。何か言い返せることはありますか
  • 赤い肉と紫の肉。どちらが新鮮な肉ですか
  • 「プライム・リブ」の「プライム」は何を意味しているのですか。最高級という意味ですか
  • スープストック(出汁)をとるときの、骨の役割は何ですか
  • 【作ってみよう12】ギリシャ風・仔羊のすね肉ロースト ― コラーゲンたっぷり
  • 骨に近い肉ほど甘いように感じますが、そう考えて正解でしょうか
  • 焼け具合を確かめるための「肉用温度計」は骨に触れさせてはいけないとされています。なぜですか
  • スープやシチューの表面に浮かぶ、ギトギト油の良い対処法を教えてください
  • 常温保存のハムが売られていますが、なぜ傷まないのですか
  • 【作ってみよう13】ブラブラックス ― 塩&砂糖漬けサーモン、スカンジナビア風
  • 肉や魚の「塩水処理」について教えてください
  • 【作ってみよう14】マホガニー色のゲームヘン ― 塩水処理でよりおいしく
  • 【作ってみよう15】塩焼きハンバーグステーキ ― 塩で肉汁をガード
  • レシピにある「一晩寝かせて」は、具体的には何時間のことですか
  • スープに浮かぶ「アク」の正体を教えてください。取り除く場合と取り除かない場合で、どんな違いが生じますか
  • ロースト・チキンから出るベタベタした汁の正体を教えてください
  • 肉汁をもとに、グレービー[ソース]を作る際のコツを教えてください
  • 【作ってみよう16】グレイビー ― 鶏または七面鳥を使って
  • 魚肉は他の肉よりも、ずっと速く火が通るのはなぜですか
  • 【作ってみよう17】魚の包み焼き ― 焼きすぎに気を付けて
  • 魚はなぜ生臭いのですか
  • すり身の製造法を教えてください
  • キャビア専用スプーンを使うと、キャビアをよりおいしくいただけるのでしょうか
  • 貝殻の片方をはずしたハマグリや牡蠣を生で食べるとき、貝はまだ生きている状態といっていいのでしょうか
  • 苦労せずに、生きたハマグリの殻を開ける方法を教えてください
  • 生きたハマグリを入手した場合、何もせず開けただけで食べられるものですか。また、砂をはかせる場合のコツについても教えてください
  • 「硬い殻」を持つハマグリや牡蠣と、「薄い殻」を持つエビやカニは、生物として同じ種類ですか、違う種類ですか
  • 【作ってみよう18】ムール貝の白ワイン煮 ― 海からやって来たファストフード
  • 【作ってみよう19】ソフトシェル・クラブのソテー ― 素材の繊細な味を生かす
  • ロブスターをおいしくいただくには、茹でるべきでしょうか、蒸すべきでしょうか
  • 【作ってみよう20】活けロブスターのボイル ― 茹でる方法で

書籍情報

ロバート・ウォルク[ピッツバーグ大学名誉化学教授]
ハーパー保子
2012年刊(本記事は2013年の第3刷を元に作成)
What Einstein Told His Book