2015年刊
お弁当から見る、21世紀の日本
題名から日本におけるお弁当の歴史概観本かと思いきや、本書で取り扱うのは主に1970年代以降、特に今世紀に入ってからのことに重点が置かれている。本書ではお弁当を切り口にして現代日本の姿をなぞってゆくのだが、どうにも題名が大きすぎるように感じた(「お弁当から見る現代日本」くらいが適当だと思うが)。まずそこで肩透かし。手づくりのお弁当、冷凍食品が詰め込まれたお弁当、コンビニのお弁当、料亭のお弁当…作り手や目的の異なる様々な種類のお弁当を例に引きつつ、レディメイド食品の利用や女性の社会進出、ごみの問題などお馴染みの問題に絡め論じていくが、語り口はふんわりと優しく、問題を深くまで突き詰めない。故に全体の印象はふわふわと散漫で(御本人も認めている通り、題材が散らかっている所為もある)、1冊読み終えてもあまりはっきりした輪郭を残さない。
「弁当の日」は、子どもたちが買い出し、調理、箱詰め、片付けという一連のおべんとうづくりの過程のすべてをおこなう日だ。「親はけっして手伝わないで」というのが決まりになっていて、「弁当の日」には、子どもたちが自分でおべんとうをつくって学校に持ってゆく。 引用元:「おべんとうと日本人
収穫だったのは、一部の学校で採り入れられているという「弁当の日」の試みを知ることができたこと。批判もあるようだけれど「いつも人がしてくれていること」を自分ひとりでやってみる、ということは多くの気付きに満ちていることだろう。料理は頭を使う。手も使う。こんなに身近な学習経験はないと思う。
そしてもう一つ、キャラ弁について「園児間のいざこざの原因となる恐れ」のために禁止している幼稚園があるという事実に恐れ入った。日本の無菌化恐るべし。長生きしないように気を付けねば。
目次
- はじめに
第1章 おべんとうと移動
- 携帯の方法
- 旅とおべんとう
- ちいさきものを愛でる
- 小分けの技術
- 行き来する箱
第2章 おべんとうと場所
- 消えたちゃぶ台
- 個食・孤食
- 温かいおべんとう
- 冷たいおべんとう
- 居場所を求めて
第3章 おべんとうと時間
- おべんとうをつくるのは誰か
- 「時短」への欲求
- 電子レンジと冷凍食品
- 「チンする」食生活
- 残り物・つくり置き
- 手づくりへの憧れ
第4章 おべんとうと技術
- 道具と食生活
- 愛情のための技術
- 「キャラ弁」の世界
- おかんアート
- ものづくりとおべんとう
- おべんとうと表現
- おべんとうとゴミ
第5章 おべんとうとメディア
- デパ地下
- 食品のディスプレイ
- フードポルノ(飯テロ)
- おべんとうの記録
- おべんとうと編集
- 「顔」が見える
第6章 おべんとうを食べる
- 弁当の日
- 「できる母」のイメージ
- おべんとうの温かさ
- おべんとうが「開く」
- 一緒に食べる
- おべんとうと日本人
- おわりに
- 参考文献一覧
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書籍情報
2015年刊