おいしさの脳科学 においが味わいを決めているゴードン・M・シェファード(Gordon M Shepherd)

ゴードン・M・シェファード(Gordon M Shepherd)[米国イェール大学・医学大学院 神経生物学教授]
小松淳子
2014年刊

味覚を支える重要な要素に、嗅覚が含まれることは周知のとおり。ヒトが味わいを感知するのに、嗅覚の齎す「風味」の担う役割は大きい。本書ではその嗅覚、しかもそのうちのレトロネイザル経路(飲食物を口に含んだ際、口内から鼻腔へと抜ける道筋のこと。くんくんと鼻から息を吸う場合だけでなく、ヒトはこのレトロネイザル経路からも匂いを感知する)を中心に、ヒトが味を感じる仕組みについて考察していく。

栄養摂取の必要によって、人類は古い段階から嗅覚を発達させてきた。傷んだものや毒物を識別するのに嗅覚は重要だった。現生人類の脳においても嗅覚に関連する領域は脳の前部に集中、古い脳に組み込まれ、視床を介さず知覚される。嗅覚は何となく腸に似ているように思う。多分に生物学寄りの題目だけれど、丁寧な説明及び訳注が付されており、文系の私が読んでも難しい点は特にない。そして訳文の端正な日本語が好ましく、印象に残った。

目次

  • はじめに 味わいは脳の創造物である
  • 序文 新しい風味の化学「ニューロ・ガストロノミー」
  • 第1章 においと風味の研究の革命
  • 第2章 犬と人間の嗅覚を比べる(レトロネイザル経路に注目)
  • 第3章 口が脳をたぶらかす
  • 第4章 風味の分子
  • 第5章 におい分子の受容体
  • 第6章 感覚イメージの形成
  • 第7章 においの空間パターン
  • 第8章 においは顔に似ている
  • 第9章 においのイメージは点描画
  • 第10章 イメージの強調
  • 第11章 嗅皮質への注目
  • 第12章 嗅覚と風味
  • 第13章 味覚と風味
  • 第14章 マウス・フィール(口中での質感)
  • 第15章 視覚と風味
  • 第16章 聴覚と風味
  • 第17章 風味を生む筋肉
  • 第18章 知覚系+行動系=ヒト脳風味系
  • 第19章 嗜好と渇望
  • 第20章 風味と記憶:プルースト再解釈
  • 第21章 過食と肥満の原因
  • 第22章 風味の神経経済学
  • 第23章 ヒト脳風味系の可塑性
  • 第24章 言語とのかかわり
  • 第25章 意識・無意識とのかかわり
  • 第26章 においと風味が人類を進化させた
  • 第27章 胎児から老年まで

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書籍情報

ゴードン・M・シェファード(Gordon M Shepherd)[米国イェール大学・医学大学院 神経生物学教授]
小松淳子
2014年刊