育てて食べる、命を戴く
香川県で養豚場を営んでいた「おっちゃん」夫妻と、そこに暮らす1200頭の豚さんたちの写真集。何年も前、有隣堂本店の階段ギャラリーで取り上げられていた本書を、私は迷いもなく買った。そこに写っていた仔豚があまりにも愛らしくて。
しかし帰宅して頁をめくるうち、当然のことが思い起こされる。この仔豚たちは大きくなれば、食肉として供される運命(鹿島茂「セーラー服とエッフェル塔」所収「出世牛」によると、食肉の歴史が長い欧州でも農耕に役立たない豚は真っ先に食用に供されたらしい)。豚肉も食べる読み手(=私)の自分勝手な感傷をよそに、おっちゃんと豚さんたちはまるで遊んでいるかのように戸外でのびのびと朗らかな表情を見せている。愛らしく、ユーモラス。私はそこに悲哀の予感を読み取ることはできなかった。仔豚がいかに愛らしかろうとも、私は結局豚肉を戴く。単なる自己満足に過ぎずとも、戴きます/ご馳走様の挨拶に心を込めて。