伝説のバーテンダー半世紀
札幌すすきの。ラーメン横丁からもほど近い雑居ビルの4階にそのバーはある。BARやまざき。木製の扉が店頭を守り、中を窺うことはできない。一見の客には踏み込み難い雰囲気だが、臆することなく扉を開けよ。独りでも大丈夫。入ることさえできたならば、恐らく驚く。接客は気さくで、構える必要はどこにもない。
本書の著者は、このバーの店主である。東京に生まれ、名門・東京會館で修業した店主が振り返る、バーテンダーとしての半生そして人生。
紡がれる文体は、訥々とした口調を透かし見るようで決して上手ではない。例えるならば、カウンターを前に店内の会話を聞くともなしに聞く。そんな雰囲気。文筆業を中心とした有名な客の挿話については、さしたる印象もオチもなくここに収めずとも良いのではと思えるものも含まれる。それよりも第二章以降で綴られる修業時代の冒険の方が々の波乱に富んでいて面白い。お客とのやりとりの中で生まれたオリジナルカクテルの簡単な処方も掲載。
目次
第一章 ようこそBARやまざきへ
- 吉村昭さん
- 山田吾一さん
- 沢木耕太郎さん
- 谷村志穂さん
- ススキノと東直己さん
- 八柳鐵郎さん
- 有田芳生さん
- 奇跡の客
- 絵が結ぶ縁
- カクテルと名前
- ギムレット①
- ギムレット②
- 白い恋人
- クローバー4
- 検事
- ダイヤモンドダスト
- 虹と雪のバラード
- ブラックベルベットレディー
- 弘子(花祭り)
- 幸子
- 文香
- 恵子
- トリーベル
- マリーベル
- むじか
- 美智子
- 九月の博子
- フライハイト
第二章 BARやまざき五十年
- 波乱の幕開き
- 昭和のススキノ
- 札幌オリンピックとスイス
- 店舗全焼
- 新店舗で再出発
- ホステスのいないバー
- 従業員の独立
- 多くの出会い
- 克美ビル
- バーテンダースクール
- 優秀な教え子たち
- バーテンダーを志す人のために
- 師弟鼎談「意思あれば道あり」
第三章 山﨑達郎八十八年
- 私の顔
- 生い立ち
- 修業時代
- 将校クラブへ
- 米軍施設に訣別
- モンタナ
- チェックのベスト
- 純銀のシェーカー
- こだわりは絵
- カメラと私
- ソフト帽子
- シルエットの鋏
- 私の一日
- 私の健康管理
- 家族
- 易者
- 山﨑達郎年譜
- あとがき